おでんの作り方

 得意なと言うか、家族に比較的好評なと言うか、その料理は、おでんと豚骨。
 今日はおでんの作り方の紹介。

 手本は、道場六三郎著「鉄人のおかず指南」中公文庫。おでんを作るには、おでん出汁を使う。
 おでん出汁は、だし汁:薄口しょうゆ:みりん=10:1:1で、極めて単純だし、覚えやすい。だし汁は出汁の素で代用している。このおでん出汁で材料を煮込めば出来上がり。市販のおでんの素よりも旨いと思う。また、このおでん出汁はうどんやモツ鍋の汁にも使える。

 おでんの材料は、まずゆで卵。通常、10個位ゆでる。皮を剥くのは少し苦手。気が短いほうなので、熱いうちにゆで卵の皮を剥こうとすると失敗する。良く冷やして剥くと比較的うまく剥ける。長男はゆで卵が好きだが、娘は食べない。

 次に大根。大根は米を入れた水で下茹でする。前回作ったおでんの大根は大失敗。芯があって、いくら茹でても軟らかくならない。結局、最後まで芯がガチガチに硬くて、食べ物にならない。こんなことがあると元々野菜嫌いの子供は更におでんの大根も食べなくなる。

 前回の随筆で日本は食べ物が豊富ではないと書いた。例えば、大根にしてもおでんのような煮物に適した大根、下ろして食べるのに適した大根、漬物に適した大根などがあるはずである。しかし、店頭でそのような大根の種々の銘柄に出会うことはない。店頭に並ぶのは、単なる一般の大根だけである。有名な練馬大根とか、桜島大根とか、その他にも大根の銘柄は数多くあるはずである。しかし、そのような大根を家庭用に銘柄別に入手することは、ほとんど困難である。画一化された“大根”しか、一般市民は入手できないのである。

 だいぶ前の話であるが、新潟出身の農家の息子が言っていた。市販のコシヒカリは、コシヒカリではないと。自分の家で作ったコシヒカリと味が全く違うと。拉致された北朝鮮から戻った誰かが、言っていた。北朝鮮の米は旨かったと。農薬も満足に無い、より自然な状態で育った米は旨いのであろう。

 千葉で落花生専門店で落花生を買おうとして、初めて落花生にも銘柄があることを知った。逆に言うとそれくらい、我々は無知で、画一化された商品しか買わされていないと言う事を意味しているのではないだろうか。

 こんにゃく、サトイモも下茹でする。厚揚げもさっと茹でて油抜きする。がんもや巾着は、最初から他の材料と一緒に煮ると煮すぎて、巾着の場合、中の餅が袋の外に溶け出して、汁が濁るので完成1時間位前に入れるようにしている。

 店にはおでん用の具としててんぷら類を売っているが、つまらないてんぷらなら入れないほうが良い。一度だけ、奮発してちょっと高いてんぷらを入れたら、そのてんぷらから非常に良い出汁が出てびっくりした。最近、また、そのてんぷらを買いに出かけたが、どこのてんぷらか覚えていないし、高いてんぷらは店頭から全部消えていた。疲弊した消費者は、既に高いてんぷらを買う購買力もないのかも。

 このおでん料理で失敗した点は、煮過ぎて、煮汁が減ってきたとき、おでん出汁を追加してどんどん、味が濃くなって品の無い味になってしまったこと。これは何回か失敗した。客が来た時、いつもに無く朝早くから煮始めて、夕方には味が濃くなりすぎた。まあ、昼から材料の準備を始めて、3時間程度煮るのが適当かもしれない。過ぎたるは及ばざるが如し、である。

 ついでに失敗談をもう一つ。弱火でおでんを煮込んでいると、ガスの遮断機が働いたことがある。一番弱い火で煮ているので、検知器がガスの漏洩と勘違いして、ガスを遮断してしまった。リセットの仕方が分からずに、ガス会社に電話したことがある。現在は煮込みの最中に適当にガスの調節をいじくって、遮断機が働かないようにしている。

 おでん調理は半日仕事。おいしく作るには、やっぱりまともな食材を選ぶことが肝心かも。

(2006年12月24日記) 

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